Gold Key Co.,Ltd

コラム
COLUMN

コラム詳細

遺品整理は本来、家族がするべき。ただ、片付けたくてもできない何かしらの理由がある

株式会社スリーマインド 屋宜(やぎ)明彦社長(41)

2016年の設立から毎年、売上2割増


前回のオンラインペット霊園に引き続き、「死」に関連する遺品整理会社にスポットを当ててみることにしよう。今回、紹介するのは遺品整理・生前整理を行うスリーマインド(兵庫県伊丹市)の屋宜明彦さん。



廃棄物処理事業を母体とする遺品整理会社を退職後、同社を立ち上げた。2021年で5期目を迎える。「家じまいサービスのプロ」と題して遺品整理・生前整理をメインに、2020年度は600件サービスを提供した。割合は前者が7割、後者が3割。売り上げは毎年120%増で増加している。順調にもかかわらず、意外な一言が飛び出してきた。



「本来、我々の手掛ける事業は、本人や家族がするべき。ただ、片付けたくてもできない何かしらの理由がある。だから我々を頼って来てくださるのだ」。



自治体や士業などで講演を行ったり、一般紙への寄稿をしたりしている屋宜さんのもとには、紹介の案件がほとんど。士業、介護・不動産・葬儀会社などが大半を占め、これまで費用をかけた広告や宣伝を行ったことはないという。


現場でタンスを移動している様子

鉄塔設計に辟易し退社。憧れだったゴミ収集作業員に


橋梁に興味のあった屋宜社長は宝塚市内の高等学校を卒業後、設計事務所に入社した。しかし、勤め先が主に手掛けていたのは鉄塔の設計だった。「鉄塔が重要な物であると認識してはいるが、自身の生活に馴染みがなくあまり魅力を感じることができなかった」(屋宜社長)。もう一つ、憧れていた仕事。ゴミ収集作業員だった。



危険と隣り合わせで回収していく様子に魅了されていた少年時代を思い出し、廃棄物処理事業者に転職した。「ゴミを回収することで街がきれいになっていく様子を見るのも、スリルを味わいながら時間内に片付けていくことも楽しかった」と回顧する。



そんな中、勤め先の経営者より「これからゴミは資源になり、収集業は衰退していく。そのため新事業を立ち上げなければならない」。



そこで経営者から屋宜さんが任命されたのが遺品整理という仕事だった。遺品整理という言葉すら聞き馴染みのなかった10数年前の当時。先駆けで手掛けていた事業者やリサイクル会社に訪問するなど手探りで行ってきた。


遺品整理の現場。細々した品を仕分けしている

『ありがとう』と感謝されて社会貢献ができる スタッフの働きやすさも重視


2016年の創業から同僚やスタッフと切磋琢磨してきた屋宜社長。昨年、20年11月には働くスタッフや依頼者にも気軽に来てもらえるような内装に仕上げた。



屋宜社長は「核家族化という社会構造の変化に伴い、高齢者の独居世帯が増加。孤独死やゴミ屋敷など社会問題化している。片付ける作業をしただけなのに『ありがとう』と言ってもらえる。社会貢献ができて感謝される。こんな仕事はないのではないかと自負している」と熱く語る。


オフィスの様子。家具を含めトータルでコーディネートした

ライター:森山清一

伊丹市の遺品整理専門会社スリーマインド
お問い合わせは こちら